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京都に出没“銅像”のゴミ拾い恩返し ポイ捨ての抑止にも

 ごみ拾いする銅像がいる? 京都市の繁華街・河原町の路上パフォーマーによる慈善活動が、会員制交流サイト(SNS)を中心に話題を集めている。「自分たちの居場所を認めてくれる京都に恩返ししたい」。表現に打ち込む若者たちの思いが、同世代の心をつかんでいる。

 世界各地からの観光客でごった返す阪急河原町駅そばで、古ぼけた“銅像”が黙々とごみを拾う。外国人の女の子が恐る恐る近寄ると、突然動きをぴたっと止めた。かと思えば顔だけが振り向き「きゃあ!」と明るい悲鳴。周囲の雰囲気がぱっと華やいだ。

 像に扮するのはスタチューパフォーマー「Mr.Kids」こと今戸隆成さん(23)だ。「街のためにできることはないか」と考え、同じ河原町で活動するミュージシャンら他の3人と昨年6月に「S+Renjoy(ストレンジョイ)」を結成。手始めとして、路上の清掃をすることを決めた。

 ごみ拾いは毎週水曜の夕方から。まるで本物の銅像が動きだし、せっせと働く光景は行き交う人々を引きつける。約1時間で三つのポリ袋がいっぱいに。今戸さんは「この姿で掃除することは、ポイ捨ての抑止力になるはず」と力を込める。

 パフォーマンスに興味を持ったのは、大学生だった約4年前。学内で、別々の行動をしていた人々が急にダンスをする「フラッシュモブ」に参加し、人を驚かせ笑顔にする生き方に憧れた。芸にのめり込み、2年後には大学を中退。同じ姿勢を保つ技術、観客に驚いてもらう演技…。河原町に通い詰め腕を磨いた。「見る側をこちらの世界に引き込む瞬間が一番楽しい」

 2月からは募金箱を設置し、チップを西日本豪雨の被災者支援に充てるイベントを実施。こうした活動がSNSで話題を呼び、ごみ拾いを手伝ってくれる若い観客やファンも出始めた。

 「いつか何百人ものお客さんも巻き込み、河原町の大掃除ができれば」。黒く塗られた顔から白い歯を見せた。

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