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【語り継ぎたい天皇の和歌】心地よい風、初夏の陽射しを連想 (1/2ページ)

 初の国書からの新元号「令和」が発表されて以来、出典となった『万葉集』が大きな注目を集めています。現存する日本最古の歌集である『万葉集』。天皇から庶民までの作品が約4500首、おさめられています。

 この『万葉集』の中で最も有名な天皇の和歌(御製)のひとつが、掲出歌でしょう。『小倉百人一首』や『新古今和歌集』では、「春過ぎて夏来(き)にけらし白妙の衣ほすてふ天の香具山」と表記されますが、「令和」時代に生きる我々としては、やはり掲出歌の表記を尊重すべきなのだと思います。

 というのも、『万葉集』の時代には実際に「真っ白な衣」を干していたことがうかがえるため、「夏来るらし」(夏が来たようだ)のあとに続く、「衣ほしたり天の香具山」が重要です。「白栲(しろたえ)」とも表記される白い衣。「栲(たえ)」とは楮(こうぞ)などの樹皮からとった繊維のことです。初夏の爽やかさと真っ白な衣が今まさに干されていると詠むことで、そこに吹く心地よい風や初夏の陽射しさえも読者に連想させる効果があります。

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