記事詳細

【部下がついてくる!「角栄流」上司の心得】「そんなことをした首相は一人もいなかった」 些細な中で生まれる人の“信望” (1/2ページ)

★究極の人心収攬術(7)

 「信望」という言葉がある。信用と人望を意味し、大それた出来事の中で生まれることもあるが、むしろ些細(ささい)な日常の振る舞いの中で生まれる方が多いのである。

 田中角栄は首相在任中の衆参本会議場で、次のようなエピソードを残している。

 衆参の本会議場を見学、あるいはテレビなどで見た人はお分かりかと思うが、議員席から見て議長席のやや下、左右に大臣席が並んでいる。左側の一番右端が、首相の“定席”である。一方、大臣席の後ろ一列に座っている人たちを知る人は少ないと思われる。衆参両院の事務局の職員である。衆参とも、向かって左の大臣席の後ろには事務次長ほか各部長、右の大臣席の後ろは議事録の職員と決められている。

 さて、本会議が始まると、議場横の出入り口から、首相以下、各大臣が入ってくる。首相は席に着くために、事務局職員の席の前を通ることになる。田中派担当記者が、こんな話をしてくれたことを思い出すのである。

 「田中首相は事務局職員の前を通るとき、例の右手を挙げ、必ず、『ご苦労さん』と声をかけていた。事務局のベテラン職員に聞いても、それまでに、そんなことをした首相は一人もいなかった。会釈すらなかったそうです」

関連ニュース