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【警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識】気象庁が揺れる「災害の命名」 基準、政治的な動機…災害を名付ける“配慮”の必要性 (1/2ページ)

 自然災害にはいろいろあるが、災害に名前を付ける権限を持つのは気象庁だけだ。その気象庁が揺れている。

 昨年9月には関西空港が水没した台風21号が西日本を襲った。だが気象庁による呼称は今のところ付けられていない。

 気象庁は、台風21号について「命名するかどうかを検討中」なのである。この5月までに定める方針だという。

 基準があいまいだったために名付けられなかったケースも少なくない。

 たとえば43人の死者を出した1991年の「雲仙岳噴火」と人的被害はなかった2000年の「有珠山噴火」は名づけられたが、死者・行方不明者が63人にもなった14年の御嶽山の噴火は気象庁によって命名はされていない。

 関係者から見れば、大変な被害を被ったのだから、災害に名前をつけてもらえなかったのは不満かもしれない。

 じつは、名づけるには、政治的な動機もある。

 1968年に「十勝沖地震」が起きた。この地震の震源は、北海道・襟裳(えりも)岬と青森・八戸のほぼ中間点にあったから、青森県も大きな被害を受けた。

 しかし、地震の名前が「十勝沖」だったばかりに、国民の同情を集めたり、政府の援助を獲得するうえで青森県は大変に損をした、と青森県選出の政治家は深く心に刻んだに違いない。

 15年後の83年に秋田県のすぐ沖の日本海で大地震が起きたときに、この青森の政治家はいち早く気象庁に強い圧力をかけたと言われている。

 この地震は秋田県の沖に起きたのに、秋田沖地震ではなくて「日本海中部地震」と名付けられた。

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