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【追想 堺屋太一】「今夜、モーツァルト?」堺屋さんとの“珠玉の時間” 戦国武将が没した年齢を現代に換算…「享年方程式」を編み出す (1/2ページ)

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 「今夜、モーツァルト?」

 NHK大阪放送局での情報番組「その時歴史が動いた」の収録本番中、ゲストの堺屋太一さんはよく、小さい声でこうたずねた。スタジオのモニターにはVTR映像が流れている。私も小声で「はい、喜んで」と即答した。

 これは、堺屋さんと私しか分からない会話だ。

 堺屋さんには、9年続いた同番組に2ケタ回出演のことと、収録後、しばしばワインを飲みながら歓談できる光栄にあずかったことは、第3回で触れた。

 堺屋事務所があるのは大阪・天神橋。天は「あま」とも読み、神は「ゼウス」。従って、「天神=アマゼウス」。アマゼウスとくれば、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト。つまり、冒頭の会話は、「今夜、天神橋の店で、(軽く)やりますか?」「はい、喜んで」となる。

 いつから、こんな隠語を交わすようになったのかは、よく覚えていない。別に隠語である必要もまったくない。ただ、それをわざわざ収録本番中にという堺屋さんのお茶目さも魅力だった。

 ともかく、夕食歓談は私にとって珠玉の時間だった。その時々で話題はさまざまだが、「言葉の話」が多かったと思う。

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