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【昭和のことば】高齢者向け優待キャンペーンの先駆け フルムーン(昭和56年)

 いつの間にか年をとったなどと嘆きたくはないが、映画や旅行など、まさか年寄り向けの「優待」に関係するようになるとは、わたしも読者のみなさまも年をとった。

 この高齢者向け優待キャンペーンの先駆けとなったのが「フルムーン」である。新婚旅行を表すハネムーンの対義語で、長年連れ添った夫婦で旅行を楽しんでもらおうという、旧国鉄(JR)が実施したキャンペーンで、広告には、晩年の上原謙と高峰三枝子が起用され、温泉につかるシーンなど、なんともほほえましくも妖艶(ようえん)なポスターに仕上がっていた。

 この年の主な事件は、「中国残留日本人孤児47人初の正式来日」「臨時行政調査会(土光敏夫会長)発足」「神戸ポートアイランド博覧会(ポートピア)開幕」「ノーベル平和賞受賞のマザー・テレサ来日」「ポーランド自主労組『連帯』のワレサ議長来日」「東京・深川の商店街で通り魔殺人事件発生」「三和銀行茨木支店の女子行員、オンラインシステムで1億3000万円詐取」「厚生省が丸山ワクチンを治験薬に指定」「北炭夕張新炭鉱ガス突出事故、93人死亡」「福井謙一、ノーベル化学賞受賞」「沖縄本島与那覇岳で新種の鳥『ヤンバルクイナ』を発見」「東京芸大教授、名器ガダニーニ鑑定書偽造事件にからむ収賄容疑で逮捕」など。

 黒柳徹子の『窓ぎわのトットちゃん』がベストセラー。洋画は『エレファント・マン』、テレビドラマは『北の国から』が人気となった。

 フルムーンキャンペーンはいまも実施されている。高齢化社会の幕開けを新鮮な発想で切り開いたことばが、時代を超えたすてきなスタンダードになったといえそうだ。 =敬称略  (中丸謙一朗)

 〈昭和56(1981)年の流行歌〉 「ルビーの指環」(寺尾聰)「チェリーブラッサム」(松田聖子)「奥飛騨慕情」(竜鉄也)

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