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【高橋洋一 日本の解き方】大地震に備えた増税論浮上も…財政破綻確率の方が低い現実 震災対応は国債でやるべきだ (1/2ページ)

 首都直下地震や南海トラフ地震に備えて、消費増税や財政再建を急ぐべきだという議論がある。

 立正大学学長の吉川洋氏はブルームバーグのインタビューで、首都直下、南海トラフなどの大地震も財政破綻の引き金になり得るとして、「地道に財政再建に向けた努力を続けていかなければならない」と語った。消費増税についても「本当にリーマン級のショックだとはっきりしない限り、先延ばしすべきでない」と主張したという。

 大震災対応の一般論を考えてみよう。仮に大震災が500年に一度とすると、事前対策としては減震対策だが、これはインフラ整備なので長期国債発行となる。事後対応はやはり国債発行で復興対策となるが、国債は500年債、500年償還が適切だ。いずれにしても事前も事後も増税は不可だ。増税は大震災による経済ショックを増幅するダブルパンチになるからだ。

 こうした話は、経済学の大学院レベルの「課税平準化理論」の簡単な応用問題だ。

 しかし、民主党政権当時の2011年に発生した東日本大震災では、財務省が主導し、復興対策費用は復興増税で行われた。長期国債は発行されずに、課税平準化理論は無視された。

 しかも、日本の主流派経済学者は、ほとんど全て震災後の復興増税に賛同した。その賛同者リストは今でもインターネットで見ることができるが、名を連ねた人はどう思っているのだろうか。この愚策のため、いまや日本の大学の経済学講義で、まともなことを教えられなくなってしまったのではないか。

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