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【編集局から】被害者・遺族への取材で起こるマスコミ批判… 記者たちを突き動かすモノとは

 痛ましい事故や事件が起きるたび、記者は取材に走ります。そんなとき、被害者の写真を入手するために、遺族や親族、周辺を取材するメディアに対して批判が起きることがたびたびあります。

 被害者や遺族、親族への思いが見受けられないという批判です。取材を自粛すべきだという声も上がります。

 私もそうした現場で、被害者の顔写真を探すという取材を何度も経験してきました。他社との競争の中で取材が過熱する懸念も否めません。

 しかし、記者が取材するのはそれだけではないのです。なぜこんな事件・事故が起き、無辜な命が奪われなければならないのか。そうした理不尽さへの悲しみと怒りが、記者を取材に突き動かしていくのです。

 そして被害者やその遺族が抱える悲しみや怒りに思いをはせ、被害者の人となりを丹念に取材していった結果、写真にたどり着くのです。

 昨今は記者が訪れたからといってほいほいと写真を貸してくれるような人はいないでしょう。にべもなく追い返されるなんてことはざらです。それでも悲しみと怒りをもって取材する記者の思いがあるからこそ、写真を提供してくれる協力者も現れるのだと思います。

 紙面やテレビで掲載される被害者の顔写真には、そんな記者の悲しみと怒りが込められていることもご理解いただければと思うばかりです。(F)