記事詳細

【高橋洋一 日本の解き方】世にも奇妙な「老後2000万円」報告書… 金融庁の「不都合な事実」とは (2/2ページ)

 そこでは、18年1月にスタートした「つみたてNISA(少額投資非課税制度)」などを通じた長期・積立・分散投資についても言及されている。その後の事務局資料は「高齢社会における金融サービスのあり方について」で、審議も金融機関各社の「営業パンフレット」の紹介のようだった。

 一度報告書が出ているうえ、WGを再開した後、議論の内容が大きく変わっているのだから、手続きとしては、あらためて大臣が諮問を出すのが筋だ。しかし、資料を見ても新たな諮問は出ていない。

 麻生大臣としては、形式的に自分の諮問に応えていないので、受け取りを拒否したということだろう。それにしても、今回の報告者は大臣の新たな諮問なしで作成されたこととなり、元官僚の筆者としては信じがたい。金融庁の手続きミスというほかなく、その責任は大きい。

 金融庁官僚も財務省出身なので、公的年金が危ういので消費増税が必要との「ロジック」を刷り込まれている。金融機関側も、公的年金では不十分として金融商品の購入を勧めるのは、営業の常だ。こうして、世にも奇妙な報告書が作られたのかもしれない。

 とはいえ、年金は保険であり、「早く死ぬ人から長生きの人への資金移転」なので極めてシンプルな数学問題だ。政治的に議論してもスキームとしてはどの国も似たような話にしかならないし、長期的な性格上、制度をコロコロ変更できない。このため政争の具にできないというのが世界の常識である。なお、消費税を年金財源とするということも「世界の非常識」であることも指摘しておこう。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

関連ニュース