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米露首脳、軍縮問題での溝露呈 早期の関係改善も困難か

 28日に行われたトランプ米大統領とロシアのプーチン大統領による約1年ぶりの首脳会談は、両国が関係改善を図ることで一致する一方、主要懸案の一つである核軍縮問題では溝があることを早くも露呈した。

 トランプ政権は今年2月、ロシアとの中距離核戦力(INF)全廃条約について、ロシアの履行義務違反を理由に破棄を正式通告した。また、オバマ前政権下で発効し、2021年に期限を迎える米露の新戦略兵器削減条約(新START)についても、一部の政権高官から「戦術核が対象になっていない」などとして延長すべきでないとの意見も出ている。

 トランプ政権としては今後、戦略核や中距離核戦力をめぐる新たな条約交渉に中国を関与させることに前向きで、今回の会談でもプーチン氏に提案した。

 しかし、中距離核が保有する核戦力の大半を占める中国は、米露の核軍縮の枠組みに取り込まれるのを強く拒否。ロシアも中国の立場を支持しており、今後の条約交渉が米国の思惑通り進む保証は全くない。

 また、米露関係の改善をめぐっても、先の大統領選への干渉を機に対露強硬姿勢を強める米議会がトランプ氏の対露融和を強く警戒。トランプ政権も17年12月発表の国家安全保障戦略でロシアを中国と共に「米国の安全と繁栄を脅かす現状変更勢力」と位置づけているほか、ロシアによるクリミア半島併合やウクライナ問題、ベネズエラ情勢では事実上の敵対関係にある。

 米戦略家の間では、トランプ政権が中国と貿易問題を中心に全面対決の様相を強める中、中国を牽制(けんせい)する狙いからロシアとの関係強化を進めるべきだとの意見も強いものの、現状では米露の劇的な関係改善は非常に困難であるのが実情だ。(黒瀬悦成)(産経新聞)