記事詳細

密輸の品を捨てられず溺死…北朝鮮「貧困層」の現在 (1/3ページ)

 北朝鮮の北部山間地に住んでいた40代男性。家族の暮らしを双肩に担い、数十年に渡って密輸を続けてきた彼は、変わり果てた姿となって家族の元に帰ってきた。そんな悲劇を両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋が伝えてきた。

 事故が起きたのは6月10日。道内の普天(ポチョン)郡の樺田里(ファジョンリ)に住む40代の男性は、30キロもの銅くずを入れたリュックを背負って、国境を流れる鴨緑江を渡ろうとしていた。ところが、急流に足を取られてしまった。

 気象サイトの中国天気通によると、普天郡の向かいの中国吉林省長白では事故の前日に12ミリの降雨を記録している。そのため、普段より水の流れが速かったものと思われる。

 リュックを投げ捨てればよかったのだが、彼はリュックを背負ったまま必死にもがいたものの、結局は流されてしまった。

 男性が翌日になっても帰宅しないので心配になった家族が密輸業者を尋ね歩いた。そして、急流に流されたと判断し、以前からよく渡河していたあたりを中心に捜索した結果、その下流で変わり果てた姿となった彼を発見したという。家族の生活がかかったリュックを捨てられなかったのだろうと、家族は見ている。

 彼を死に追いやったのは「貧困」だ。

 普天堡(ポチョンボ)戦闘(後に主席となる金日成氏ら抗日パルチザンが1937年に起こした襲撃事件)の舞台となった普天郡。革命の聖地の一つだけあって道内の他の地域よりはまだ恵まれているほうかもしれないが、それでも住民の暮らしは貧しい。

デイリーNKジャパン

関連ニュース