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ハンセン病訴訟、国が控訴せず 安倍首相が表明

 ハンセン病患者の隔離政策で、本人だけでなく家族も差別を受けたことを認め、国に対して元患者の家族541人に計約3億7600万円の損害賠償を命じた熊本地裁判決について、安倍晋三首相は9日、控訴を断念すると表明した。控訴期限を12日に控えていた。

 安倍首相は記者団に「判決の内容に一部受け入れがたい点があるのも事実だが、筆舌に尽くしがたい経験をされたご家族のご苦労をこれ以上長引かせるわけにはいかない。異例のことではあるが控訴しないことを決め、関係閣僚に指示した」と述べた。

 元患者本人をめぐっては、2001年5月に熊本地裁が国に約18億2000万円の損害賠償を命じ、小泉純一郎首相(当時)が控訴しないことを決断し、補償制度につなげた。今回の訴訟でも、国の控訴見送りで判決が確定すれば、家族の被害回復に向けて大きく弾みが付きそうだ。

 6月28日の地裁判決は、らい予防法の隔離政策により、学習機会を奪われたり結婚差別などがあったことを認め「憲法が保障する人格権や婚姻の自由を侵害した」と指摘。国が遅くとも1960年の時点で隔離政策をやめなかったことなどを違法と判断、96年まで隔離規定を廃止しなかったのは立法不作為とした。

 原告561人のうち、身内が元患者だと知ったのが最近だったなどの理由で20人の請求を棄却したが、541人については1人当たり33万~143万円の賠償を命じた。