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【昭和のことば】あふれ出るおじさんの哀愁… 古谷三敏の痛快ギャグ漫画『ダメおやじ』(昭和45年)

 この年、赤塚不二夫のアシスタントであった古谷三敏の漫画『ダメおやじ』の連載が始まった。気弱なサラリーマンが通称「オニババ」の妻と、息子「タコ坊」にボコボコにされる、おじさんの哀愁がたっぷりとあふれ出る、痛快ナンセンスギャグである。

 いわゆるDVの逆バージョンであり、また父親を異常なまでに軽視、今では問題になりそうな設定だが、まだ当時には、そんなことでは揺るがないほどの父権体質が色濃く残っていた。

 この年の主な事件は、「第3次佐藤栄作内閣成立」「厚生省、LSDを麻薬に指定」「日本万国博覧会EXPO’70開催」「赤軍派学生9人、日航機『よど号』をハイジャック。北朝鮮の平壌へ」「東京・銀座などで、『歩行者天国』がスタート」「政府、初の『防衛白書』発表」「東京・渋谷で日本初のウーマンリブ大会開催」「作家の三島由紀夫『楯の会』会員4人と東京・市ケ谷の陸上自衛隊東部方面総監部に乱入、三島と会員1人割腹自殺」「沖縄コザ市で、米軍MPの交通事故処理に市民が反発(コザ暴動)」など。

 この年の映画は『戦争と人間』『イージーライダー』。本は藤原弘達『創価学会を斬る』、塩月弥栄子『冠婚葬祭入門』。テレビでは『ありがとう』『細うで繁盛記』が流行。東京都内では、光化学スモッグ公害が頻発した。

 当時この作品は、『ハレンチ学園』(永井豪)とともにPTAのやり玉にあがった。「なんで女の人をこれだけ嫌な風に描くんですか!」と言われ、古谷は、「いじめたり殴ったりしてるけど、女としてやることはちゃんとやってます、洗濯も掃除もご飯も。ただ給料が少ないから、怒ってるだけなんです、と言って黙らせた」と後のインタビューで語っている。=敬称略(中丸謙一朗)

 〈昭和45(1970)年の流行歌〉 「黒ネコのタンゴ」(皆川おさむ)「圭子の夢は夜ひらく」(藤圭子)「走れコータロー」(ソルティ・シュガー)

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