記事詳細

【高橋洋一 日本の解き方】対中追加制裁とトランプ戦略…来年の再選にらんで“奥の手”も? 北朝鮮の非核化交渉も有利に運ぶ (1/2ページ)

 トランプ米大統領がツイッターで、中国からの輸入品3000億ドル分について、10%の制裁関税を課す方針を明らかにした。9月1日から発動するとしている。

 筆者は、米中貿易戦争で、米国の国内物価がどうなるかを着目していた。米国人は物価にかなり敏感であり、もし中国製品の価格が上昇すれば、批判や不満はトランプ大統領に向かうからだ。

 インフレ率はここ半年ほどで2%を若干下回る程度で推移しており、中国製品の輸入価格はマイナス1%程度で、物価の引き下げに寄与している。人民元が安く推移していることもあるが、中国からの輸入品は代替物が多く、価格を引き上げると、他の国からの輸入品に代替されやすいので、価格を引き上げられないのだ。となると、米国が関税を課しても、国内物価が高くなることをあまり心配しないでいい。

 一方、米国から中国への輸出は農産品が中心である。この輸出が伸びないと、米国の農家はトランプ大統領に文句を言う。農村票は共和党の基盤であるので、来年11月の大統領選での再選が危うくなる。

 この点については、たしかに、中国への輸出は減少している。しかし、トランプ大統領には奥の手がある。中国からの輸入品に対して関税をかけ、その関税収入を農家への補助金として使うということだ。中国からの輸入品価格が上昇していないというのは、事実上、関税を負担しているのは中国の輸出者ということになる。それを米国の農民に使うのだから、政治的には「うまい手」になる。

関連ニュース