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【日本の元気 山根一眞】生物多様性の国である“日本の象徴”として… 福井県敦賀市の奇跡「中池見湿地」 (1/2ページ)

 日本海に面し良港を擁する福井県敦賀市は、かつて世界への玄関口だった。1912(明治45)年、敦賀港を経由する欧亜国際列車の運行が開始。当時、新橋駅の出札窓口で「ロンドン行きの1等車席を2枚ください」と乗車券を買えたのだ。

 新橋駅から敦賀港駅、ウラジオストクへの連絡船、そしてシベリア鉄道を経由するロンドンへの鉄道の旅は17日かかったが、当時では最短のルートだった。その歴史は、レトロな旧敦賀港駅舎を利用した敦賀鉄道資料館で知ることができる。

 敦賀市は人口6万6000人。福井県では5番目に大きな都市で、東海道新幹線の米原から特急で約30分と思いのほか足の便がいい。その敦賀駅から車でわずか10分という短距離に、世界に誇るべき場所がある。2012年にラムサール条約湿地に登録された中池見(なかいけみ)湿地だ。

 ゲートである藤が丘駐車場に着き、あたりを見回してもどこにそんな湿地があるのか何も目に入らない。だが、少し急な山道を8分ほど上ると、ドーンと25ヘクタール(約7・6万坪、東京ドーム5・3個分の広さ)の壮大な自然世界が目に入る。ミニケーブルカー利用なら2-3分だ。

 天筒山、中山、深山に囲まれた「隠し田」のようなここは、いつ訪ねてもタイムマシンで飛んできた太古の源自然世界だなぁと感動する。

 この湿地は植物が豊富で、その遺骸による泥炭層が40メートルも堆積。それは二酸化炭素の吸収源としても大きな役目を担う。花粉化石を含む泥炭層は、過去10万年の気候変動を知る地球史のデータ庫でもある。こんな超自然世界が、敦賀駅からわずか1・8キロの場所に広がっているのだ。

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