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【大前研一 大前研一のニュース時評】中国政府、国防白書で「領土死守」宣言! 南シナ海攻防の行方は… (2/2ページ)

 南シナ海での領有権を主張するため、中国が地図上に勝手に設定した9本の境界線が九段線(きゅうだんせん)だ。その形から「U字線」「牛の舌」とも呼ばれ、南シナ海南部のスプラトリー諸島やベトナムに近いパラセル諸島まで、南シナ海のほぼ全域を囲む。

 これがベトナムやフィリピン、マレーシア、インドネシア、ブルネイなどとの対立を呼び、2016年、ハーグの常設仲裁裁判所は「法的根拠がなく、国際法に違反する」と判断を下している。

 ただ、フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領のように、この南シナ海判決を棚上げする合意を中国として、「いま、中国と戦って勝てるわけがない。黙って聞くしかないじゃないか」と国民に説明して、中国から歓迎されている首脳もいるのだが。

 日本の場合、ペルシャ湾からの石油のルートが、この九段線の内側に入る。ということで、日本も他人事というわけにはいかない。この中国が進める南シナ海軍事拠点化に対し、日米豪は共同訓練を通して連携を深めている。

 習近平国家主席下の中国指導部は、海洋利権を強く意識し、拡大をさせている。表向きはニコニコしながら、シルクロード経済圏構想「一帯一路」を進めているが、こちらも「強軍目標の貫徹」という意味では同じものではないかということを、各国とも少しずつ認識してきている。

 今回の国防白書では、米国を名指しで「世界の安定を損ねている」と批判し、「戦闘準備する」と言明している。その米国は何とか割って入ろうということで、パラセル諸島やスプラトリー諸島の中国の人工島から12カイリ以内にイージス駆逐艦などを通過させる「航行の自由作戦」を実施しているが、これも近いうちにできなくなるのではないか。

 というのも、中国は人工島から対艦弾道ミサイルの発射実験をしているからだ。習主席の領土と海洋権益に対するこだわりを見ると米軍でさえも風前の灯火、という感じだ。

 ■ビジネス・ブレークスルー(BBTch)の番組「大前研一ライブ」から抜粋。

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