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【日本の元気 山根一眞】「骨董百科事典」の“美しい”利用法 19世紀の機械の図は息をのむほど緻密に… (1/2ページ)

 無人島に本を1冊だけ持っていくとしたら何を選ぶかという問いがある。私は、1冊というわけではないが百科事典と決めている。百科事典は知識の宝庫。日本最大の百科事典『日本大百科全書(ニッポニカ)』(小学館)は全26巻、総ページ数約2万3000もある。1日1ページのペースだと読破には63年かかるが、1日10ページのペースを5回くり返せば30年は楽しく過ごせる計算だ。

 ちなみに日本大百科全書の「紙版」はすでに絶版だが、その内容はオンラインで提供されており、今も増補が続いている。最近、私はこの百科事典の編集部から2項目の執筆を依頼された。文字量は各800字だが、執筆のため数カ月かけて膨大な数の論文や古文献を調べる苦労をした。日本大百科全書の執筆者、約6000人も同じように精魂を傾けて書いたのだろうと思い、ますます百科事典の貴重さを実感している。

 書斎や仕事場には江戸時代の百科事典である『和漢三才図会』(和書の原典)をはじめ十数セットの百科事典がある。長年にわたる原稿執筆で、とりわけ江戸期や明治期など古い百科事典がどれほど役立ったことか…。

 それらのデジタル化が進んできたこともあり処分を考え始めているが、処分を躊躇している1セットが、革表紙の金の装飾が実に美しいドイツの『マイヤー百科事典(1905年版・全20巻)』だ。本文は「フラクトゥール」(ひげ文字)と呼ぶ書体で印刷されているが、私は読むことだけはできるので、19世紀の欧州の技術や科学を知るには最高の情報源だった。

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