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【高橋洋一 日本の解き方】トランプ大統領「グリーンランド買収構想」の意味 北極海の戦略や地下資源に魅力…6兆円をはるかに上回る価値 (2/2ページ)

 ここに早くから目をつけていたのは、近接するロシアとカナダである。米国も遅ればせながら、ブッシュ政権以降、積極的な関与を掲げて、オバマ政権も踏襲した。

 グリーンランド島北部のチューレには、米国は第2次世界大戦後に空軍基地を設置しており、いまなお米軍が駐留している。中国も南シナ海、東シナ海で積極姿勢が目立っているが、北極海に対しても、着実に布石を打っている。2016年、中国はグリーンランドにある古い基地を買収しようとしていたが、米国の意向によりデンマークに阻止されたという経緯もある。

 グリーンランドは北極圏において大きな面積を占めていたので、古くは、1946年に当時のトルーマン大統領が1億ドルでの購入を提案したこともある。現在の貨幣価値に換算するとグリーンランドのGDPの半分程度しかない安値だ。

 不動産価値を算出するために用いられる収益還元法を便宜的に使っても、グリーンランドの時価は550億ドル(6兆円)をはるかに上回る。それに、戦略上の位置や地下資源を考慮すれば、値段はつけられない。

 トランプ氏は、買収を拒絶されたとしてデンマーク訪問を延期すると明らかにした。買収の実現可能性は乏しくとも、他国としのぎを削る北極海での勢力争いとグリーンランドの独立を見据えた、米国の長期戦略の一環だと考えるのが妥当だろう。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

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