記事詳細

【富坂聰 真・人民日報】「カネ」で抗議デモ懐柔する香港政府 米中摩擦が香港地盤沈下を加速させる皮肉 (1/2ページ)

 香港の騒動は、新学期を前に新たなステージに突入し始めたようだ。両者の情報戦を象徴するのは、中国系の香港紙『大公報』が21日付で出した記事だ。『中国新聞ネット』などに転載された記事のタイトルは、〈学業不振の“香港独立派”頭目はいかにして名門校に合格したのか? 香港人がイェール大学に説明を求める〉である。

 多くを説明する必要はないだろう。要するに香港独立を仕掛けたリーダーには「ご褒美」として米名門大学に入れるという逃げ場が、米国の力によって用意されていると疑われているのだ。

 疑惑の根拠はリーダー・羅冠聰(ネイサン・ロー)氏が香港の大学で成績不良だったことだ。記事は「君はイェール大学に行き、君の呼びかけに応じた学生はジェール(刑務所)に行く」と結ばれている。

 指摘が香港デモの性格のすべてではない。しかし一断面であることも間違いない。天安門事件後の学生リーダーたちのその後と重なるからだ。

 その意味では、いま逮捕されている救われない700人には寛容な対応をしてほしいものだ。

 さて、話を香港政府とデモ隊の攻防に戻そう。

 デモへの対応として林鄭月娥(キャリー・ラム)長官は20日、「さまざまな階層の人々と交渉する場を設け、意見の違いを埋め、香港社会を前進させる」と述べ、妥協の姿勢を見せた。

 日本では、それでも「逃亡犯条例」が完全撤廃されないことなどが注目点となったが、私は別の発言が気になった。それは、この一連の騒動で香港経済に下振れリスクが生じたという理由で、「191億香港ドル(約2590億円)を投じる」と語ったことだ。つまり、カネによる懐柔だ。

関連ニュース