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【高橋洋一 日本の解き方】日米とも「勝った」貿易交渉 自動車関税で互いに「成果」 経済損失回避した日本の外交力 (1/2ページ)

 安倍晋三首相とトランプ米大統領は貿易交渉の大枠で合意したとし、9月にも協定に署名する見通しだと発表した。交渉は日米どちらに優位な内容となったのか。

 米国はいろいろな国と問題を抱えている。中国とは貿易戦争の最中、北朝鮮とは非核化交渉、欧州とはイラン核合意で対立、ホルムズ海峡では対イラン有志連合を画策-などである。

 そういう中で、日米関係は良好だ。米国は貿易・関税問題も世界で抱えていて各国とも困っていたが、昨年の米EU(欧州連合)間の関税報復がいったん休止となったことがほぼ唯一の救いだった。日米交渉の合意は久しぶりに世界経済に明るい話題だ。

 ただし、日本の株式市場は荒れている。米連邦準備制度理事会(FRB)が金融緩和しようとしているのに、日銀は何の手も打たずに無策を決め込んでいるので円高圧力がかかっているからだ。

 筆者は、日米貿易交渉について、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の成果をベースにすれば合意は難しくないといってきたが、今回は予想の範囲内だ。もちろん、TPPと同じでは、脱退した米国の得点にはならないから、政治的に「お土産」が必要だ。それが米国の日本車に対する関税だった。これは日本が譲った部分だが、TPPでも撤廃予定だったので、許容範囲だろう。TPPで設けられたコメの無関税輸入枠の導入も見送られた。この意味で、日本が一方的に米国に譲歩したとはいえない。

 米国は年内に交渉妥結という成果を得ている。トランプ政権にとってはメキシコ、カナダとの北米自由貿易協定(NAFTA)見直しに続く貿易協定の締結となり、牛肉やトウモロコシなど農畜産品の輸出拡大で成果を主張できる。早期決着になったので、来年11月の大統領選に間に合うだろう。こうした意味で、日米ともに「勝った」といえる。

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