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【軍事のツボ】総火演初登場の装輪式自走砲の重要性と落とし穴 (1/3ページ)

 陸上自衛隊の富士総合火力演習が今年も開かれ、8月25日は一般公開があった。近年は毎年“初物”が登場しているが、今年は19式装輪式自走155ミリ榴(りゅう)弾砲だった。トラックに搭載することで、現代戦に不可欠の一要素である「機動力」を高めた火砲だ。陸自は現在、火砲や戦車の削減を進めているが、そのなかで新型火砲はどのように活用されるのだろうか。

 まず19式装輪式自走155ミリ榴弾砲の概略について。既存の牽引(けんいん)式榴弾砲FH-70は老朽化が進んでいるうえに、砲を設置して射撃し、さらに敵の反撃をかわすために別の陣地に移動する陣地変換にかかる時間が問題となっていた。

 これは、現在の陸戦では、砲弾の飛来を探知し発射地点を割り出す対砲迫レーダーの進歩、UAV(無人航空機)の急速な発達・普及、これらの各種兵器のネットワーク化で、火砲は射撃、即、敵に位置を標定されることになってしまうため、1分1秒でも早く別の場所に移動することが求められているからだ。

 こうした背景で2013年度に開発開始され、今年度制式採用された。砲身の長さが砲の口径の52倍あることを意味する52口径155ミリ榴弾砲を、マン社(ドイツ)の8輪駆動トラックの荷台に載せている。自動装填(そうてん)装置を備える点や口径、砲身長など現在の各国の主要装輪式自走砲と同レベルのスペックだ。

 車体の大きさ(全長11・4メートル、全幅2・5メートル、高さ3・4メートル、重量25トン以下)も各国の主要な装輪式自走砲と大体似たり寄った。このサイズはC-2輸送機の貨物室の大きさ(全長15・7メートル、全幅4メートル、高さ4メートル、最大搭載重量36トン=航続距離4500キロ)に収まる。「空輸する前提で、大きさや重量はC-2に乗せられるように合わせた。そのため、自動装填装置を99式自走155ミリ榴弾砲よりも簡易なものにするなど、重量軽減に気を使った」(陸自関係者)という。

 また、火力戦闘指揮システムや観測機などとネットワーク化もされる。榴弾砲は自分の正確な位置を測定し、射撃指揮所から座標や風速など多くのデータを受け取って射撃する。FH-70はデータの受け取りが音声というアナログな火砲だが、ネットワーク化された19式は、諸元をデータリンクで受け取り照準することができる。

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