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【日本の元気 山根一眞】湖底の写真を1年間撮影し続けるためには? (1/2ページ)

 昨年9月15日、福井県若狭町に開館した福井県年縞(ねんこう)博物館が近々、来館者6万人に達する。特別館長を任ぜられている私は、果たして多くの来館者が見込めるのかどうか不安だったが、やれやれと胸をなで下ろしている。

 年縞は博物館に近い三方五湖(みかたごこ)のひとつ、水月湖の湖底のボーリングで得た地層の縞々を指す。水深34メートルの湖底から得た地層は、きれいな縞々が連続。厚さ0・7ミリの縞の一つが1年分の堆積物だ。

 水月湖ではその1年分の縞が何と45メートル(自由の女神像の高さと同じ)、7万年分も積み重なっていて、1年の欠けもない。7万年分もの年縞が完全にそろっている場所は世界にはなく、水月湖は「奇跡の湖」と呼ばれているのだ。

 この年縞に記されている放射性炭素(炭素14)の値をもとに、水月湖の年縞はきわめて正確な年代決定の「ものさし」となり、年代決定の世界標準に採用。世界の歴史が書き換えられ始めている。年縞博物館は、その7万年分45メートルの年縞をステンドグラスのように加工し連続展示。日本の誇りとして実感していただく場なのである。

 この年縞をゲットするプロジェクトを牽引したのが、立命館大学の古気候学研究センター長、中川毅さんだ。中川さんは町工場のオヤジさんのような「ものつくり」の高度技能の持ち主でアイデアマンだが、その中川さんに数日前に会ったところ、またびっくりする「ものつくり」を計画中だった。

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