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【大前研一 大前研一のニュース時評】横浜カジノ誘致、米軍が“占拠”する「ノースピア」にIRを 「ハマのドン」の懸念も解消 (1/2ページ)

 横浜市の林文子市長は22日、カジノを含む統合リゾート(IR)の誘致を正式表明した。2年前の市長選で「IRは白紙」と掲げていたが、この突然の転換について、人口や税収減少による厳しい財政状況を挙げている。2020年代の開業を目指す。

 誘致先は、観光スポット、山下公園に隣接する47ヘクタールの山下埠頭(ふとう)。現在は港湾事業者の倉庫などが並んでいる。

 これに対し、横浜エフエム放送社長も務めて「ハマのドン」と呼ばれる横浜港運協会の藤木幸夫会長は「山下埠頭は聖地。ばくち場にはしない。ギャンブル依存症への懸念もある。命を張ってでも立ち退きには応じない」と頑強に反対している。

 私は約20年前に横浜市の将来図を横浜商工会に提案している。その中で、IRを誘致するのなら、横浜港の瑞穂埠頭の港湾施設「ノースピア」を使うことを進言した。ここは横浜のど真ん中にあるのに、米国陸軍の撤退後もいまだに返還されず、米国が“占領”する形になっている。これを返還しろ、と鉢巻き締めてやるのも大人げないし、トランプ大統領が相手ではいくらのカネを請求されるか分からない。

 ここに建前上は米軍の“占拠”のままにしてカジノをつくれば、入るのはパスポートが必要になる。それにより、人の管理ができ、ギャンブル依存症の問題も減らせる。外国から来た人はそのまま入ることもできる。ノースピアを使うというアイデアは、奇抜でも何でもない。一番オーソドックスだと思う。これで港運協会の懸念も丸く収まるのではないか。

 林市長が「IR、イエス」と言った瞬間、シンガポールのマリーナベイサンズなども手掛ける米国のIR運営事業大手のラスベガス・サンズは、これまで大阪府・市に力を入れていたのに、手のひらを返して「大阪の事業者募集の入札に参加せず、横浜市や(まだ誘致表明していない)東京都の開発に注力する」と方針転換した。

 サンズのオーナーであるシェルドン・アデルソン氏はトランプ氏を顎で使う、と言われているし、事実、彼の要請でトランプ氏は安倍晋三首相にIRの立法化を急がせた。だから瑞穂埠頭をサンズに献上すればトランプ氏も喜ぶに違いない。

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