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「生きた証し」京アニ事件犠牲者ら新作エンドロールに (1/2ページ)

 放火殺人事件後初となる京都アニメーションの新作映画が6日、全国公開され、多くのファンが映画館に詰め掛けた。事件前日の7月17日に完成したこの作品には京アニの全スタッフが参加。通常、エンドロールや映画のパンフレットには1年以上の経験があるスタッフの名前が出るが、今回は犠牲者と負傷者を含む全スタッフの名前が記された。「制作に参加した全員の生きた証し」。京アニは理由をこう説明している。

 公開されたのは「ヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝-永遠と自動手記人形-」。戦争で両腕を失った元少女兵のヴァイオレット・エヴァーガーデンが手紙の代筆業を通じ、さまざまな形の愛を知る物語で、テレビシリーズが昨年放送されている。映画はその続編となり、離ればなれになった姉妹の絆が描かれた。

 京アニによると、事件で犠牲になった35人と負傷した35人を含む全スタッフの名前がエンドロールやパンフレットに記されたのは、藤田春香監督たっての希望という。京アニは「災禍に見舞われたスタッフを含め、制作に参加した全員の生きた証し」としている。

 京都市中京区の映画館には午前9時からの初回上映前からファンが駆けつけた。犠牲となった監督やアニメーターらの名前が含まれたエンドロールが流れると、劇場内ではすすり泣く声や嗚咽が漏れ、上映後は数分間、拍手が鳴りやまなかった。同市伏見区の介護士、山岡奈美さん(38)は「亡くなった方々が確かに存在し、制作に関わっていたんだと改めて感じた」と目を潤ませた。