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【東日本大震災から8年半 忘れない、立ち止まらない】教訓伝承の芽、着実に根を張る 「防災マイスター」目指す少女の思い (1/2ページ)

 父親の横にちょこんと座り、講師の話に耳を傾ける小学生の女の子。その小さな姿は、大人ばかりの中にあって、とても目立った。

 2018年から“自治体版防災士”として独自の認定制度「防災マイスター」の養成講座を開催している岩手県陸前高田市。本年度の同講座で、自分にとってよく知るその少女を見つけたときの気持ちは、なんとも言えない。「教訓伝承の芽は、着実に育っている」という強い感慨が、真っ先にこみあげてきた。

 並んで座っていた2人は、同市に住む米沢祐一さんと、多恵さん親子だ。自営業の祐一さんは“あの日”、3階建ての自社ビルの屋上でからくも巨大津波を逃れたが、一緒に働いていた両親と弟は避難先で犠牲となった。祐一さんは、このビルを“物言わぬ語り部”…震災遺構として残し、訪れる人に津波の脅威を伝え続けている。これについては以前、小欄でも触れた。

 祐一さんが、その教訓を一番に語り聞かせてきた相手こそが、多恵さんだ。多恵さんは2011年2月生まれ。誕生わずか1カ月後に大震災が発生した。津波の記憶は、当然ない。米沢さん親子は毎年3月11日にこのビルを訪れる。「地震が来たらすぐ高いところへ」。命を守るための行動を、父は飽くことなく娘に伝えてきた。

 祐一さんが昨年度、防災マイスター認定を受けたことをきっかけに、小学2年生になった多恵さんは「私もマイスターになる」と自ら志願したのだという。

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