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【日本の元気 山根一眞】ワクワクだらけ「ニホンオオカミの謎」 (1/2ページ)

 ニホンオオカミは明治38(1905)年に絶滅したとされてきたが、114年を経た今も「遠吠えを聞いた」「姿を見た」という証言が少なくない。

 かつて、山中で恐ろしいまでの咆哮を聞いたことが大きな動機となり、ニホンオオカミを追い求めているのが、埼玉県の「NPO法人ニホンオオカミを探す会」代表の八木博さんだ。秩父山中でニホンオオカミと思われる動物の撮影に成功し、その活動が広く知られるようになった。全国津々浦々に残る、ニホンオオカミとされる頭骨や毛皮を調べてきた膨大な記録は、後世に残す貴重な記録だ。

 八木さんは秩父山中に70個もの自動撮影カメラを設置しニホンオオカミの姿をとらえる努力も続けているが、まだその姿を得ることには成功していない。だが、その膨大な映像データには驚くほど多種多様な動物や鳥類の姿が記録されていて、日本の野生動物の生態記録として第一級の資料価値がある。

 私が八木さんと知り合ったのは90年代後期だが、それは、私自身がニホンオオカミの取材を始めたからだった。雑誌『旧・SINRA』(新潮社)での1年以上にわたった連載の終了後も国内外で取材を続けてきて、すでに四半世紀だ。そろそろ覚悟を決めて単行本として出そうと準備をしていた矢先、NHKからニホンオオカミをテーマにした番組出演の依頼があった。

 私のニホンオオカミ取材の原点は、かつて林業で栄えた奈良県東吉野村だ。人口1745人(2015年)で、95%が森林という山に抱かれた村だが、何とも魅力的な土地で、すっかりこの村が好きになった。東吉野村は、1905年のニホンオオカミ「最期の地」とされてきたが、その「最期」を調べれば調べるほど謎は深まるばかり。ノンフィクション作品として出版できないままだったのは、そのためでもある。

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