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【富坂聰 真・人民日報】米中貿易協議で中国が「大物」投入か 懸念される2つのシナリオ、脱米で日本に冬の時代到来も (2/2ページ)

 1つは、ドナルド・トランプ大統領が、「中国には強硬姿勢で臨むべし」と主張する人物の意見を取り入れ、次なる圧力をちらつかせて譲歩を迫るというシナリオだ。この場合、物別れに終わったベトナムでの米朝首脳会談の二の舞いとなること間違いない。そしてもう1つのシナリオが、トランプ大統領がいったん、習近平国家主席と合意に至るも、アメリカに持ち帰った後に、合意がひっくり返されるというパターンだ。

 懸念が払拭できない以上、中国はトランプ大統領との合意ができるか否かにかかわらず、やはり緩やかな“脱米”に向かわざるを得ない。

 それは日本経済にとっても冬の時代となる。

 米中貿易戦争で中国の投資が振るわなければ日本経済の強さの象徴であり、また稼ぎ頭でもある電子部品や自動車部品の対中輸出が滞ることは避けられない。同時に、円高を招いて日本からの輸出品にダメージがおよび、株価も下落する。

 そして何より、円高は日本への旅行にブレーキをかけかねない。

 その意味では王岐山に交渉の窓口に出てきてもらいたいものだ。

 ■富坂聰(とみさか・さとし) 拓殖大学海外事情研究所教授。1964年生まれ。北京大学中文系に留学したのち、週刊誌記者などを経てジャーナリストとして活動。中国の政・官・財界に豊富な人脈を持つ。『中国人民解放軍の内幕』(文春新書)など著書多数。近著に『中国は腹の底で日本をどう思っているのか』(PHP新書)。

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