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【高橋洋一 日本の解き方】経済と安全保障は「密接不可分」 韓国「徴用工」問題でも的外れのメディア 「経済」を「外交力」に生かせ (1/2ページ)

 政府は、外交・安全保障政策の総合調整を担う国家安全保障局(NSS)に、経済部門を新設する方向で検討に入ったと報じられている。米中貿易戦争や高速大容量の第5世代(5G)移動通信システムなど、経済問題が外交・安保と密接に関わる事例が増えたことが背景とされるが、具体的にどのような役割を果たす組織になるのか。

 国際政治学には、平和達成について、(1)同盟と(2)軍事力から説明する「リアリズム」の立場と、(3)民主化(4)経済依存度(5)国際機関加入から説明する「リベラリズム」の立場がある。

 「リアリズム」も「リベラリズム」もともに正しく、これら5つはいずれも平和への貢献が大きいことが定量的に知られている。なお、(3)民主化と(4)経済依存度、(5)国際機関加入の3点は、哲学者カントが唱えていたことから、「カントの三角形」と呼ばれている。

 この中で、経済と安全保障に関係するのが、(4)の経済依存度である。これは、貿易関係が密接になるほど戦争をしなくなるという側面と、強固な完全保障関係があるほど貿易が盛んになるという双方向の効果によると考えられている。

 政治と経済は国際社会ではかなりリンクしているのも事実だ。自由貿易圏と安全保障上の同盟国はかなりの程度オーバーラップしていることはよく知られている。

 さらにいえば、安全保障は国の最も重要な基盤だ。安全保障と貿易がバッティングする際には、安全保障が優先されるのも国際社会ではしばしば見られることだ。これは、自由貿易の生みの親であるアダム・スミスが『国富論』の中で、「安全保障は経済に優先する」と述べていることにも由来する。英国がオランダの海軍力を抑え弱めるという安全保障上の理由から、航海法を制定してオランダ船の貿易締め出しを図ったことを称賛したのだ。

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