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最先端の遺伝子研究を支える「純系メダカ」 100年間絶やさずゲノム編集に貢献 (1/2ページ)

 他の種類と交配せず、遺伝子の組成がほぼ同じ「純系メダカ」を、岡山市の遺伝研究家、竹内哲郎さん(87)が65年間守り続けている。個人で半世紀以上、純系を維持した例はほとんどない。恩師が飼育した期間も含めると、約100年間にわたって大切に命をつないできた。個体差が少ない竹内さんのメダカは、大学などで最先端の遺伝子研究を支えている。

 赤や青、グレーや乳白色-。自宅の庭にずらりと並んだ陶器やコンクリートの鉢約80個の中で、多くのメダカが泳いでいた。「餌をやろうとすると寄ってくるんです」。水面を見つめる竹内さんが目を細めた。

 きっかけは岡山大で生物を学んでいた1954年だった。「引き継いでほしい」。体調を崩した恩師が、それまで40年間維持していた純系6種類を竹内さんに託した。

 自然の環境に近づけるため野外で飼育する。雨で鉢の水があふれないように水量の調整は欠かせない。学生時代は大学で飼っていた。「下宿の雨どいに穴を開け、落ちた水が缶に当たると音が鳴る仕掛けをして、雨が降ると夜中でも起きて駆け付けた」と振り返る。

 卵の管理に最も気を配る。他の種類の卵が一つでも鉢に入ると、意図せぬ交配で遺伝子が混ざる懸念があるため、メダカをすくう網は鉢ごとに使い分ける。鉢には網を掛け、卵を食べるトンボの幼虫ヤゴの侵入を防ぐ。

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