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【zak女の雄叫び】《zak女の雄叫び お題は「良かったこと」》銚子電鉄 赤字のトンネルぬけて

 「本物のトンネルはないが、緑のトンネルならあります」「電車が冷房を入れ加速すると、電圧が下がり室内灯が消える」

 赤字状況が続く銚子電鉄(千葉県銚子市、銚子-外川(とかわ)間の6・4キロ)の宣伝文句だ。始発から終点まで片道20分間。大正12年に開業した銚子電鉄は、通勤通学のほか、犬吠埼などへの観光にも利用されてきた。だが、周辺の過疎化で乗客数は年々減少。50年前は約130万人だったが昨年度は35万人までに落ち込んだ。

 この状態を逆手に取った“自虐ネタ”のアイデアで経営難を克服しようと今、話題だ。同社の現在の稼ぎ頭は食品製造販売で、米菓子「ぬれ煎餅」、経営状況をもじったスナック菓子「まずい棒」が人気商品に。夏休みで観光客が増えたおかげか、まずい棒は先月の一時期、在庫がなくなる事態にも。ちなみにまずいのは名前だけで、味は普通においしいそう。生き残りをかけた「鯖威張る(サバイバル)弁当」もある。

 「人手不足で社長が電車を運転」「ぬれ煎餅買ってください。電車修理代を稼がなくちゃ…」など自らをネタにして発信してきた。

 鉄道ファンの人気スポットは木々に囲まれた緑のトンネル。本銚子(もとちょうし)と笠上黒生(かさがみくろはえ)駅の間にある。夏も終わりにさしかかる頃、緑のトンネルを見に行ってみた。本銚子駅のホームに立つと、確かに緑で囲まれた線路が見える。無人駅で、あたりはジワジワと鳴くセミの声だけが響く。踏切の警報が鳴ると、単線に2両編成のレトロな電車が姿を見せた。夏にもっさりと生い茂った緑をかきわけ、電車ゆっくりと進んでいく。銚子電鉄によると、「枝が伸びてきたら安全のために整えることはあるが、もともとあった山に線路を通したので天然のトンネルだ」という。

 本銚子駅の近くに住む60代の男性は「昔から通学に使われてきた駅だが、最近は写真を撮ったり、観光に来る人も多く見る」と話した。足が悪いので、隣町へ買い物に行くのに使っているという。男性は「暑いでしょ」と自販機で買ってくれた冷たい缶コーヒーを渡してくれた。住民の温かさが、この路線にもにじんでいる気がした(水)

【zak女の雄叫び】取材や日常…。女性記者21人が月ごとのキーワードで本音を綴るリレーコラムです。9月のお題は「良かったこと」です。