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【警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識】津波が運ぶ“死亡率10%”の感染症「クリプトコックス症」 (1/2ページ)

 熱帯地域にしか分布しなかった病気が、いままでなかったところにも広がっている。肺炎に似た「クリプトコックス症」だ。北米大陸の北西部沿岸で300人以上がかかり、その死亡率は約10%という高い数字だという。

 この病原菌を南米から北米大陸に運んだのは、どの船にもついているバラストタンクの海水だったらしい。船は空荷になると喫水(きっすい)が上がってしまって不安定になるので、バラストタンクに近くの海水を満たす。それを積み荷が積まれる遠くの海で捨てるのだ。

 北米大陸北西部沿岸で見つかった菌を調べると、その古さは南米からの船による輸送が始まった時期と一致していた。1914年にパナマ運河が開通して以降、船の輸送が急増していたのだ。

 だが、この菌の人への感染が初めて確認されたのは99年だった。つまり半世紀以上もの時間遅れがあったのである。

 通常の感染ルートならば、菌の胞子を吸い込むことで菌が肺に入り込んですぐに発症する。この菌は海水には弱く、人への感染能力のほとんどを失ったに違いないと思われている。半世紀以上海を漂っているというのは不思議だった。

 この時間遅れを解くため、最近、新しい学説が出された。それは、この病気の元になる菌が大地震の津波で沿岸や森林に入りこみ、そこで生き延びるために人間にとって有害な「進化」を遂げたというものだ。

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