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【昭和のことば】「セーラー服」と「機関銃」の正反対なイメージが交錯 カ・イ・カ・ン(昭和57年)

 薬師丸ひろ子といえば、いまの世代には、NHK連続テレビ小説の名作『あまちゃん』に登場した女優さんのイメージなのかもしれない。だが、50代以上の人たちには圧倒的にこれ、「カ・イ・カ・ン」である。

 セーラー服でマシンガンをぶっ放しながら放つ決めぜりふ。前年の末に封切られた映画『セーラー服と機関銃』(相米慎二監督)の中のシーンがそのまま流行語になった。原作は当時はまだ無名だった昭和の大ベストセラー作家・赤川次郎。女子高生がヤクザの二代目を演じるという痛快な映画で、角川が宣伝に全面的に協力している。

 この年の主な事件は、「東京・赤坂の『ホテル・ニュージャパン』で火災発生。33人が死亡」「日航機、羽田着陸寸前に海面墜落(機長による逆噴射操作の人為的事故)。24人が死亡」「500円硬貨発行」「IBM産業スパイ事件」「東北新幹線、大宮-盛岡間開業。上越新幹線、大宮-新潟間開業」「国鉄リニアモーターカー、世界初の有人浮上走行に成功」「三越取締役会で岡田茂社長を解任。『なぜだ』が流行語に。愛人竹久みちも脱税容疑で逮捕」「パンダのフェイフェイ、上野動物園に到着」「第1次中曽根康弘内閣成立」など。

 岡本綾子、ゴルフ米公式ツアー優勝。中・高校の卒業式への警官関与が1528校、校内暴力の嵐が全国の学校に吹き荒れた。

 当時は「萌え」ということばもまだない時代。セーラー服姿の醸し出す純真なイメージが、反社会的勢力、マシンガンという「物騒な」イメージと交錯し多くの人を惹きつけた。脚本家の田中陽造はのちのインタビューで、「一人の少女が世の中に一歩踏み出す1カ月間の話、世にも不思議な青春喜劇をシリアス・ドラマの手法で描いた」と語っている。=敬称略(中丸謙一朗)

 〈昭和57(1982)年の流行歌〉 「北酒場」(細川たかし)「聖母たちのララバイ」(岩崎宏美)「待つわ」(あみん)

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