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日本人の賃金が増えない根本理由 「内部留保優先の経営」から脱却せよ (2/5ページ)

 安倍晋三首相は12年末の第2次安倍内閣発足以来、「経済の好循環」を繰り返し主張し、円安で過去最高の利益を上げている企業から、「給与増」の形で、従業員などへの恩恵が行くことを求めてきた。「禁じ手」と言われながらも、春闘に向けて経済界のトップらに毎年「賃上げ」を要請し、19年春の春闘まで6年連続でのベースアップを実現させた。18年の春闘では安倍首相が「3%以上の賃上げ」と具体的な目標数値まで示した。

 だが、こうした春闘で賃上げが決まるのは主として大企業だけだ。世の中の大半を占める中小企業の賃金はなかなか上がらない。多くの国民は所得が増えたという実感が乏しいと語る。

 増え続ける「内部留保」

 大企業にしても儲(もう)かった分に見合った賃上げをしているとは言い難い。

 というのも、企業が社内に溜め込んだ「内部留保」の増加が止まらないのだ。

 財務省が9月2日に発表した法人企業統計によると、18年度の金融業・保険業を除く全産業の「利益剰余金」、いわゆる内部留保は463兆1308億円と、前の年度に比べて3.7%増えた。企業が上げた利益のうち、配当などに回されず、会社内に蓄えられたもので、08年度以降毎年増え続け、7年連続で過去最大となった。

 全産業の経常利益が83兆9177億円と0.4%増に留(とど)まったこともあり、剰余金の伸び率は17年度の9.9%増に比べて小さくなったが、3.7%という増加率は利益の増加率0.4%を大きく上回っており、内部留保優先の経営が続いていることを物語っている。内部留保の463兆円は経常利益(83億円)で言えば、5年半分である。

 では、一方で、どれぐらい企業は「人件費」を増やしたのだろうか。

ITmedia ビジネスオンライン

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