記事詳細

日本人の賃金が増えない根本理由 「内部留保優先の経営」から脱却せよ (3/5ページ)

 法人企業統計で見ると、同年度に企業が生み出した「付加価値額」は314兆4822億円。前の年度に比べて0.9%の増加に留まった。一方で、「人件費」の総額は1.0%増の208兆6088億円で、辛(かろ)うじて付加価値の伸び率を上回った。とはいえ、17年度の人件費の伸び率は16年度に比べて2.3%増えていたのだが、18年度の人件費の増加率は1.0%である。安倍首相が言っていた「3%の賃上げ」には程遠い。この伸び率では、物価が少し上昇すれば、実質賃金はマイナスになってしまう。それが統計数字として現れてマイナス続きになっていると言ってもいいだろう。

 18年度に限って言えば、企業が生み出した付加価値の伸びと同率の伸びを人件費でも実現したことになる。だが、巨額に積み上がった内部留保という過去の蓄積を取り崩したのかと言えば、全くそうではない。前述の通り、むしろ、過去最大に積み上がっているのである。

 企業が生み出した付加価値のうち、どれぐらいを人件費に回したか、を見る指標がある。「労働分配率」といって、付加価値に占める人件費の割合を見たものだ。法人企業統計の年度数値は財務省が毎年9月に発表するので、担当の麻生太郎副総理兼財務相は毎回、記者から質問を受けてきた。昨年、2017年度の時は数値上「人件費」は増えているが、「労働分配率は下がっている」と噛(か)みついていた。法人税率を引き下げることになった際も、それで浮いた企業の利益が内部留保に回るなら意味がない、と苦言を呈していた。

ITmedia ビジネスオンライン

関連ニュース