記事詳細

日本人の賃金が増えない根本理由 「内部留保優先の経営」から脱却せよ (4/5ページ)

 低下し続けてきた「労働分配率」

 今年発表した18年度の「労働分配率」は66.3%で、17年度の66.2%からわずかながら上昇した。人件費が大きく増えたと胸を張れる水準ではないのだが、今年は、麻生大臣は静かだった。あまり批判すると、安倍首相が掲げる「経済好循環」の足元を切り崩すことになってしまうからだろうか。

 ちなみに、「国」と「企業」と「家計」を経済の3主体と呼ぶ。18年度で見た場合、誰が最も収入を増やしたのだろうか。法人企業統計で見ると、企業が国に支払った「租税公課」は10兆8295億円。前年度に比べて6.5%増えた。法人税率は下がっているものの、企業業績の好調を背景に、法人税収や消費税収が増えた。実際、国の集計でも、18年度の税収は60兆3564億円となり、バブル期を上回って過去最大となった。

 租税公課は6.5%増、企業に残った内部留保は3.7%増だったのに比べて、人件費の1.0%増というのは、3主体で見た場合、家計への分配が立ち遅れていることを示しているのではないだろうか。

 労働分配率はアベノミクスで企業収益が好転するなかで、ほぼ一貫して低下を続けてきた。株主に分配する「配当」は総じて増加してきたのとは対照的だ。コーポレートガバナンス(企業統治)の強化が進むなかで、年金基金や生命保険会社などの発言力が増し、企業に増配などを求めるようになったことが大きい。

 コーポレートガバナンスの強化に反対する経営者の一部は、増配要求などをする米国のファンドなどが大儲けしているように言うが、実際は、日本国民の年金資産などを運用する基金や保険会社、金融機関を通じて、国民が受け取る年金の財政に寄与している。

ITmedia ビジネスオンライン

関連ニュース