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【語り継ぎたい天皇の和歌】ともに天空を仰いで生きる仲間への思い (1/2ページ)

 国内外から2000人もの来賓をお迎えし、執りおこなわれた一代一度の「即位礼正殿の儀」。伝統を踏まえた壮大な宮廷絵巻の様式美に世界が注目しました。今回は20年以上、この即位式を執りおこなうことができなかった後柏原天皇の御製(和歌)を紹介します。

 後柏原天皇は前回紹介した後土御門天皇の第一皇子です。父の時代に応仁の乱がおこり、幕府の財政も逼迫していた時代でした。

 けれども、そんな即位式のできない状況下でも、天皇のあるべき姿を自問し、精進を重ね続けた後柏原天皇。戦火や疫病に苦しむ民のために自身は何をすべきなのか、どんな心持ちで歩むことが万人のためになるのかを常に模索していたことが書物からうかがえます。

 朝晩がすっかり冷え込むこの時期。「さわやかにくっきりと晴れわたった明るい月下では虫の声にも秋の深まりが感じられる」--そんな歌意の掲出歌です。

 「はかなしや夕かげ草に鳴く蟲(むし)のあすとたのまぬ露のいのちは」(はかないことだなあ、夕影草のあたりで鳴いている虫は明日がどうなるかわからない、葉の上の露のようないのちなのだ)という一首も残した後柏原天皇。

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