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民主党政権時に仕分け対象「スーパー堤防」に再注目 台風被害に積極論、慎重論など問い直される意義 (2/2ページ)

 スーパー堤防が再度注目されたのが、10月12日から13日にかけて列島を通過した台風19号だった。国土交通省によると、7県71河川で139カ所の堤防が決壊した。

 多摩川周辺でも、東京都世田谷区二子玉川付近で浸水被害があったほか、対岸の川崎市ではJR武蔵小杉駅周辺が浸水、タワーマンションの一部が停電や断水に見舞われた。

 公益財団法人リバーフロント研究所技術参与の土屋信行氏は「武蔵小杉はすり鉢状で、集中して水が集まってしまう場所だった」とした上で「多摩川でもスーパー堤防が完成した区間では、一切浸水や氾濫などの被害が起こらなかった。これほど顕著な効果事例はないと思う」と強調する。

 関西大学社会安全学部教授の河田惠昭氏はスーパー堤防について、「氾濫しても堤防が壊れず、ゆっくり水につかるため、家が流されにくいのが一番のメリットだ」とする一方、「現在のスーパー堤防構想の基準は、地球温暖化で洪水規模が大きくなるという前提になっていない。新たに作るなら、方式を修正することも議論すべきだろう」と指摘、現状では治水効果が十分ではない可能性があるとみる。

 住民の合意を得ることも難題だ。浸水に見舞われた二子玉川周辺でもスーパー堤防構想があったが、当時を知る住民は「数年間も立ち退きするということなので、住民から一蹴された」と振り返る。

 名城大学都市情報学部教授の大野栄治氏は、「住民の理解のある地域から手を付けていくべきではないか。(土地のかさ上げで)地盤が高くなることで資産価値が上がると考えられるので、そこから立ち退きの費用を負担することも考える必要がある」と話す。

 「治水は命を預かる公共事業だが、対象地域に人が張り付いているところが難しい」と大野氏。

 いずれにしても治水対策は待ったなしだ。

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