記事詳細

【日本の元気 山根一眞】台風被災地を苦しめる「泥害」への備え 機械・配電盤の設置位置…被害を想定した対策を (1/2ページ)

 台風19号による堤防の決壊で起こった洪水被害の後始末で、多くの方々が大変な苦労を続けている。決壊した堤防は20水系71河川の139カ所(国土交通省、10月23日午前8時時点)、浸水面積は250平方キロにおよんだという。これは東日本大震災の津波による浸水面積(561平方キロ)の約45%に相当する規模で、床上浸水、床下浸水した住家は6万2805棟にのぼる(消防庁災害対策本部、10月23日午後2時時点)。

 連日、その「洪水被害」が報じられているが、被災した方々を後片付けで苦しめているのは「水」でも「岩」でも「砂」でもなく、「泥」だ。これは「水害」というより「泥害」と呼ぶべきだが、報道でも「泥害」という言葉は使われていない。

 私は、数日前に荒川水系の被災地を取材した。そこで見たのは、茶色の水が流れる荒川の川岸は水に洗われたきれいな岩石や小石が帯状に続いているのに、川岸から十数メートル離れた先には膨大なぬかるみ状の粘土状の泥が広がっている光景だった。私は、長靴がその泥の一部にズッポリとはまり抜け出すことができず転倒、泥まみれとなってしまったが、水を含んだ粘土状の泥はきわめて重い。

 地質学者でもある立命館大学古気候学研究センター長の中川毅さんによれば、水には浸食、運搬、堆積という3つの作用があり、これで「泥害」は説明がつくという。豪雨によって山の地面が削られるのが「浸食」。激しい流れで土砂が下流へもたらされるのが「運搬」。下流域でそれらが積もるのが「堆積」だ。

 激しい川の流れが運搬してくるものは、サイズが0・063ミリ以下の「泥」、2ミリ以下の「砂」、2ミリ以上の「礫」に分けられるが、水に沈む力はサイズの3乗に比例する。つまり、流されてくる礫や砂は川底や川岸などで先に沈む。一方、川の水から受ける押し流される力は断面積の2乗に比例するので、サイズが小さい泥は沈むより流されることが上回る。この3乗と2乗の差によって、「泥」のみがより遠方にまで運ばれ「堆積」という「泥害」となる。

関連ニュース