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【富坂聰 真・人民日報】中国で減る「反日」問題 過去の歴史認識に関して勇気ある発言も (2/2ページ)

 いくつかのサイトではすでに削除されている記事だが、内容は旧日本軍に北京が占領されていた8年間に、故宮博物館は略奪の対象になったのかという疑問に答えた論考になっている。

 筆者の耿氏は、故宮博物館の歴史や文物に関するエキスパートである。

 その耿氏が最終的に結論付けているのが、近代史の中で中国が他国から侵略を受け続けた期間にも、故宮博物館にあった宝物は、外国人によるひどい強奪を免れたというものだった。

 耿氏の研究の中心は、抗日戦争期における故宮博物館の国宝の南遷だ。

 南遷とは、故宮博物館の国宝を湖南省長沙に移した過程(1931年~)のこと。1次と2次があり、第2次は湖南大学の図書館に移送された。

 旧日本軍については、1944年、日本が太平洋戦争の末期で深刻な物不足に陥り、「献銅運動」が発せられ、銅の供出が求められたとして、このときには銅製の大砲や大甕、他の装飾品が持ち去られ、溶かされてしまったという。だが、それ以外に宝物が略奪にあうなどの被害はなかったのだ。

 もちろん、だからといって、日本の侵略を美化しようというのではない。こういう声が中国国内から起きる現実が重要なのである。

 ■富坂聰(とみさか・さとし) 拓殖大学海外事情研究所教授。1964年生まれ。北京大学中文系に留学したのち、週刊誌記者などを経てジャーナリストとして活動。中国の政・官・財界に豊富な人脈を持つ。『中国人民解放軍の内幕』(文春新書)など著書多数。近著に『中国は腹の底で日本をどう思っているのか』(PHP新書)。

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