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関空がある街の「筆談マスター」 声帯摘出の大病を乗り越え、軽妙やりとり「交流が一番の薬」 (2/2ページ)

 喉にステージ4のがんが見つかったのは、開店から1年がたった頃。「声と命のどちらを選ぶか。迷う余地はなかった」。12時間に及ぶ手術の末、声帯を全摘出した。

 店に復帰後、客とのコミュニケーションに悩む日々が続いた。そんな時、筆談で接客するホステスの姿がテレビで目に留まった。「これなら自分にもできる」。その日からメモ用紙と鉛筆を手に店に立つようになった。

 筆談でも会話のテンポを保とうと、メモ用紙の裏を使った素早いツッコミやジェスチャーで笑いを誘う。「顔を集中して見るようになったから、相手の考えがより分かるようになった」。声を失ったことは決してハンディではないと強調する。

 新たな病気が見つからないか不安がよぎることもある。それでも、国内外から訪れる客との交流が一番の薬だ。「いろんな人と接するおかげで前向きに生きていける。これからもおいしく元気で好かれる店にしたい」。メモ用紙いっぱいに文章を書いて、ほほ笑んだ。

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