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【昭和のことば】「男女同権」以前の時代の主婦に向けられた価値観 三食昼寝付き(昭和41年)

 いま言ったら絶対に怒られることばだ。

 昭和41(1966)年当時。まだ「男女同権」以前の時代の価値観だとお考えいただきたい。「三食昼寝付き」とは、この頃の主婦に向けられたことばだ。亭主の月給を袋ごと受け取り、3食しっかりと食べ、掃除洗濯炊事など、電化製品の普及によって楽になった家事の合間に、せんべいをかじりながらテレビのメロドラマを見ている。気がついたら今日も昼寝。主婦たちの気ままな暮らしを皮肉りながらもうらやましく思う。そんなニュアンスを含んだ男たちの「軽口」として、当時盛んに使われた。

 この年の主な事件は、「全日空機、羽田空港着陸直前に東京湾に墜落。133人全員死亡」「日産自動車とプリンス自動車工業、合併に調印」「ビートルズが来日、日本武道館で公演」「閣議、新東京国際空港を成田市三里塚に建設決定」「全日空YS11型機、松山空港で海上に墜落、50人全員死亡」「衆議院解散(黒い霧解散)」など。

 この年の映画は『白い巨塔』。テレビは『ウルトラマン』。遠藤周作が小説『沈黙』を発表。交通事故死亡者総数は1万3319人で史上最悪となり、交通戦争激化が叫ばれた。丙午に当たるこの年は、出生が前年より25%減り、巷では、フォークソング・ブームが起こっていた。

 時代が変わりこのことばのニュアンスは変わった。「三食昼寝付き」とは羨望のことば。男女の違いはともかく、家人のひとりが家でゴロゴロしていても家計が回る。つまり余裕を持って子育てや家事や社交をしていられることが何よりの贅沢(ぜいたく)、そんな時代に突入してしまった。

 ご隠居さんさえ働かされる現代。残念ながら、時代は逆行してくれない。(中丸謙一朗)

 〈昭和41(1966)年の流行歌〉 「君といつまでも」(加山雄三)、「柳ヶ瀬ブルース」(美川憲一)、「バラが咲いた」(マイク真木)

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