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【昭和のことば】若者の就職を後押し!とんねるず出演CMから生まれた言葉 ヤリガイ(昭和61年)

 とんと聞かなくなったことばだ。生活の糧のための仕事、やりがいや生きがいを感じることができる自分に合った仕事。たしかに職業選びとはこのふたつの間を揺れ動くものなのかもしれない。

 昭和61(1986)年、バブル前夜、このことばは生まれた。発信源は『週刊就職情報』のテレビCM。人気コピーライターの川崎徹演出、とんねるず出演、一連の「ヤリガイ」シリーズである。仕事の「やりがい」と引っ掛けたピンク色の「やり貝」が、ある日背中に生えてくる。笑いと皮肉で、好況期の若者の就職やアルバイト転職を軽妙に後押しした。

 この年の主な事件は、「レーガン大統領が対リビア経済制裁発表」「スペースシャトル・チャレンジャー号爆発事故、乗組員全員死亡」「フィリピンのマルコス大統領が国外脱出、アキノ大統領が就任(エドサ革命)」「チェルノブイリ原子力発電所で大規模な爆発事故発生」「レバノンの雑誌がレーガン政権のイランへの秘密の武器輸出を報じて、イラン・コントラ事件が発覚」など。

 この年の映画は、『天空の城ラピュタ』『ストレンジャー・ザン・パラダイス』『トップガン』。本は『化身』(渡辺淳一)、『最終便に間に合えば』(林真理子)。角界では、新人類力士・北尾光司が横綱に昇進した。

 自身の仕事にやりがいを感じる。これは贅沢(ぜいたく)なことではなく、生きていく上で当たり前のことだ。結局人間は、仕事を通じての社会参加に充実感を得られないと満足できない。働き方改革、高齢者の再雇用、外国人の受け入れなど、マクロの視点での「人材配置」もけっこうだが、この「ヤリガイ」をほうり出すのではなく、いつまでも背負っていたいものである。=敬称略(中丸謙一朗)

 〈昭和61(1986)年の流行歌〉 「CHA-CHA-CHA」(石井明美)「DESIRE」(中森明菜)「仮面舞踏会」(少年隊)

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