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【編集局から】1審判決の破棄相次ぐ…誰のための裁判員裁判なのか

 2015年に埼玉県熊谷市の小学生2人を含む6人を殺害したとして、強盗殺人などの罪に問われたペルー国籍の男に対する控訴審判決で、死刑とした1審の裁判員裁判判決が破棄され、無期懲役が言い渡されました。

 大阪・ミナミで12年に通行人2人を無差別に刺殺した被告に対する上告審判決でも、死刑とした1審の裁判員裁判判決を破棄して無期懲役とした高裁判決が確定することが決まりました。

 そうしたなか、東海道新幹線の車内で男女3人を殺傷した被告は公判で、「刑務所に入るのが夢だった。3人殺せば死刑になるので、2人までにしておこうと思った」と言ってのけました。案の定、検察の求刑は無期懲役でした。

 裁判員制度が導入されて10年が経過しました。裁判員制度について説明する裁判所のサイトでは、制度導入で《裁判の進め方やその内容に国民の視点、感覚が反映され(中略)裁判全体に対する国民の理解が深まり、司法がより身近なものとして信頼も一層高まる》としていますが、現実はほど遠い状況です。

 東名高速道路であおり運転を受けた夫婦が死亡した事故でも、被告の男に対する控訴審判決で、懲役18年とした1審の裁判員裁判判決が破棄され、地裁に審理が差し戻されました。誰のための裁判員裁判なのでしょうか。(N)