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ヘイトスピーチに初の「刑事罰」12日にも可決 川崎市の条例めぐり議論噴出「表現の自由萎縮」「実効性なし」 「対象言動」は慎重な判断が必要 (1/2ページ)

 公共の場でヘイトスピーチ(憎悪表現)を繰り返した者に刑事罰規定を盛り込んだ全国初の条例案が12日にも川崎市議会本会議で可決、成立する見込みだ。差別的な言動が許されないのは当然だが、日本人へのヘイトが刑事罰の対象とならないことなどから、表現の自由を萎縮させるとの懸念があるほか、条例の実効性について疑問視する向きもあるなど議論が噴出している。

 市が制定を目指す「川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」は、公共の場所で拡声器やプラカードなどを用いて、日本以外にルーツを持つ「本邦外出身者」に対して居住地域からの退去や、人以外のものに例えた著しい侮辱、生命や自由、名誉などに危害を加える扇動や予告などを禁じている。

 こうした差別的な言動をしたり明らかな恐れがある人物について、勧告や命令に従わなかった場合、警察や検察を通して裁判所が50万円以下の罰金を科すとしている。

 また、川崎市内で行われたネット上でのヘイト表現や、同市に関係する人物へのヘイト表現だと明らかに認められるネット上の表現に対しても必要な措置を取ると盛り込まれている。

 「市内では2015年前後から韓国人・朝鮮人を誹謗(ひぼう)中傷するデモが頻発し、翌16年にはヘイトスピーチ解消法が施行された。その後も、外国人参政権反対を訴える街宣活動と、『カウンター』と呼ばれる団体が衝突し、周辺が異様な空気に包まれる場面がたびたびあった」と地元記者は解説する。

 この条例案について、表現の自由に詳しい弁護士の堀内恭彦氏は、「相手を明らかに侮辱する言葉や、『死ね』などの発言は論外だが、名誉を傷つける言動かどうか、行政側は判断に慎重になるべきだ」と指摘する。

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