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【語り継ぎたい天皇の和歌】終戦翌年、耐え忍ぶ国民への思い込め (2/2ページ)

 魔除けや神様が降りてこられる樹としても知られ、正月の門松には神様を出迎える意味もあります。思えば、天女が降りてきた「羽衣」も松の伝説です。虹の松原、天橋立、松島など、松の名所は日本各地にあります。

 こんなに尊ばれ、親しまれ、しかも燃料にもなる力強さを讃えた松。古(いにしえ)より、王や皇帝ゆかりの宮殿に松が植えられていることも多く、活力の象徴でもありました。

 その松をお詠みになり、終戦から数カ月後の歌会始であえて発表した昭和天皇。緑豊かな松の生命力やたくましさを讃えつつ、新たな時代の平穏無事を御祈念くださったのだと存じます。

 令和がはじまった今日(こんにち)でもあの頃と同じように、松が深雪に耐え、大地に深く根を張っています。寒さ厳しい季節に思いおこしたい昭和天皇の御製です。(作家、歌人・田中章義)

 ふりつもる

 み雪にたへて

 色かへぬ

 松ぞををしき

 人もかくあれ

 (昭和天皇)

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