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【警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識】サクラエビの不漁はダムのせいか、それとも「南海トラフ地震」の前兆なのか (2/2ページ)

 ダムから出る灰色の濁りは駿河湾に到達し、海洋環境に影響している可能性が高い。雨畑ダムには魚も棲まない。

 さて、サクラエビの不漁はこの水のせいだろうか。

 もうひとつの可能性は南海トラフ地震だ。来るべきこの大地震の前兆が起き始めているのではないかというのである。

 駿河湾は深さが2000メートルを超える。湾が深いのは海溝が駿河湾の中を走っているからだ。海溝の名前は駿河トラフという。

 駿河トラフは南西方向に南海トラフ、そして琉球海溝にまで続いている。この一連の海溝からフィリピン海プレートが西日本の地下に潜り込んでいるのだ。このフィリピン海プレートの衝突と潜り込みが、南海トラフ地震を起こす。

 南海トラフ地震のひとつ前の「先祖」は分かれて起きた。1944年の東南海地震(マグニチュード=M=7・9)と1946年の南海地震(M8・0)だった。しかし、この2つをあわせても、歴代の先祖よりも小さかった。震源は東端が駿河湾の入り口で止まった。

 このために地震エネルギーがまだ残っていて、今度来る南海トラフ地震は、もっと大きいのではないかと考えられている。遠い先祖である1707年の宝永地震は2つに分かれずに一挙に起きて、先代よりもずっと大きな地震だった。

 さて、地震の前兆なのか、ダムのせいか。地元をはじめ、地震学者は固唾をのんで見守っているのである。

 ■島村英紀(しまむら・ひでき) 武蔵野学院大学特任教授。1941年、東京都出身。東大理学部卒、東大大学院修了。北海道大教授、北大地震火山研究観測センター長、国立極地研究所所長などを歴任。著書多数。最新刊に『多発する人造地震-人間が引き起こす地震』(花伝社)。

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