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【長谷川幸洋「ニュースの核心」】北朝鮮が強硬路線に転じたワケ… 金正恩氏はトランプ大統領を「完全にナメている」 (2/2ページ)

 トランプ政権は直後に「イランの仕業」と断定し「米国は臨戦態勢にある」と拳を振り上げたが、結局、何の報復もしなかった。攻撃直前の10日には、軍事力重視の超強硬派であるジョン・ボルトン補佐官を更迭していた。

 これが「大統領の弱腰」を示すサインになってしまった。そのうえ、トランプ氏は9月26日の国連演説で、北朝鮮とイランに対して、「米国の目標は調和であり、終わりなき戦争を続けることではない」とまで語った。正恩氏にとって、これほど明確なメッセージはなかっただろう。

 正恩氏は「サウジのような重要な同盟国が攻撃されても軍事報復しないなら、オレがICBMのエンジン実験をしたところで、報復するわけがない」と見極めているに違いない。それどころか、このままトランプ政権が見過ごすと、さらに重大な挑発に踏み切るかもしれない。すなわち「核実験の再開」である。

 トランプ氏は来年の大統領選を控えて、軍事力を行使しにくい立場にある。米国民の多くは「戦争に疲れている」からだ。ボルトン氏は更迭後、「イランや北朝鮮との交渉は失敗する運命にある」と語っていた。どうやら、不吉な予言は当たりそうだ。

 ■長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ) ジャーナリスト。1953年、千葉県生まれ。慶大経済卒、ジョンズホプキンス大学大学院(SAIS)修了。政治や経済、外交・安全保障の問題について、独自情報に基づく解説に定評がある。政府の規制改革会議委員などの公職も務める。著書『日本国の正体 政治家・官僚・メディア-本当の権力者は誰か』(講談社)で山本七平賞受賞。最新刊に『明日の日本を予測する技術』(講談社+α新書)がある。

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