記事詳細

【日本の元気 山根一眞】はやぶさ2が成し遂げた大成果 (2/2ページ)

 もっとも、「はやぶさ2」が成し遂げた「7つの偉業」は探査機を精密に操る「工学的成果」であり、「はやぶさ2」の目的はリュウグウの物質(岩石微粒子)を詳しく分析し太陽系や生命の起源を解明する「科学的成果」を得ることにある。

 「はやぶさ2」が膨大な数のリュウグウのサンプルを得たことは確実で、来年末に豪州のウーメラ砂漠にサンプルを満載した「カプセル」が着地すれば、惑星科学者たちによるサンプル分析が始まる。その仕事は、全国の大学や研究機関のオールジャパンで行うことになっている。私はその数拠点を訪ねているが、いずれもきわめて大きなスケールで準備態勢が進んでいることに驚いている。

 研ぎ澄まされた宇宙工学と惑星科学のコラボレーションによって、科学史上初となる大発見が続々と出ることは間違いない。米国と比較し情けないほどわずかな宇宙関連予算の枠内で、低コストの小さな探査機を3億キロかなたの天体に送り大科学成果を成し遂げる…。それは今後、あらゆる分野で日本が進むべき、学ぶべき道を示唆しているように思う。

 ■山根一眞(やまね・かずま) ノンフィクション作家、福井県年縞博物館特別館長。愛地球博愛知県総合プロデューサーなど多くの博覧祭も手がけてきた。近刊は『理化学研究所 100年目の巨大研究機関』『スーパー望遠鏡「アルマ」の創造者たち』。「山根一眞の科学者を訪ねて三千里」(講談社)を連載中。理化学研究所名誉相談役、JAXA客員、福井県交流文化顧問、獨協大学非常勤講師、日本文藝家協会会員。

関連ニュース