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【長谷川幸洋「ニュースの核心」】“茶番”で終わったイランの報復 米国を本気で攻撃しない理由は… (1/2ページ)

 まさに、世界を震撼(しんかん)させた1週間だった。ただ、それは悲劇として始まり「喜劇で終わった」と言ったら、言い過ぎだろうか。

 米国が3日、イラン革命防衛隊の精鋭「コッズ部隊」のガーセム・ソレイマニ司令官をドローン攻撃で殺害した。すると、イランは「徹底的に報復する」と怒り狂い、世界は「第3次世界大戦か」とまで恐れおののいた。

 ところが、イランが8日に実行した弾道ミサイルによる報復攻撃は大きな被害が及ばないように、相手に事前通告したうえ、慎重に着弾地点も選んでいた。イラン国営テレビは「米軍の死者は少なくとも80人」と宣伝したが、実際には米軍に1人の死者も出なかった。

 イラン外相は「戦争は望んでいない」と語り、ドナルド・トランプ米大統領も「軍事力は行使したくない」と応じた。米国は追加の経済制裁で幕引きを図った形である。

 私は、イラン側の80人死亡説にもかかわらず、トランプ氏が「明朝、声明を出す」と言って就寝した時点で「報復の茶番劇は終わった」と確信した。本当に米軍に死者が出ていたら、最高司令官がぐっすり眠るわけがない。

 一連のドラマで、イランという国の本質が垣間見えたように思う。

 それなりの軍事力を持ち、シリアやヨルダン、イラク、イエメンといった周辺の国には、過激なテロもいとわない親イランの武装組織も整えている。だが、本気で米国と事を構えるつもりはないのだ。なぜか。

 もしも米国を本格的に攻撃すれば、トランプ氏は当然、徹底的にイランをたたくだろう。その際、真っ先に標的になるのは、イランが数十年の歳月と巨費を投じて開発を続けてきた核施設である。

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