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【国防最前線】海上自衛隊の中東派遣 「自国の船を自国で守る」という意義付けが重要 (1/2ページ)

 ちょうど昨年の1月、天皇・皇后両陛下(現、上皇さまご夫妻)は、神奈川県横須賀市の県立観音崎公園にある「戦没船員の碑」を訪問された。これは、戦争中に軍に徴用され、命を落とした約6万人の船員を慰霊する碑で、両陛下のご訪問は8度目だった。

 両陛下は、日本殉職船員顕彰会関係者に「亡くなった人のために、これからもよろしく」とお言葉をかけられたという。

 先の大戦で殉職した商船隊の死亡率は43%で、帝国陸海軍の死亡率(陸軍20%、海軍16%)をはるかに上回っている。戦火の中で満足な護衛もなく、危険な輸送をしなければならなかった。このため、戦後、船員の遺族にとって軍は憎むべき相手だった。海運業界には、すぐ労働組合が発足して「反戦」の旗を掲げ、海上自衛隊も許容しなかった。

 しかし、そうも言っていられない状況になった。ソマリア沖の海賊だった。タンカーの船員が襲われる事件が相次ぎ、業界は大きな危機に直面したのだ。

 船主協会などからの要望を受けて、2009年に成立したのが「海賊対処法」であり、海自のソマリア沖派遣がスタートした。以降、船主協会が主催する「海上自衛隊海賊対処活動への感謝の集い」も開催されており、過去を知る人にとっては感慨深いものがある。

 石油資源のほぼ100%近くを海上輸送に頼っているわが国として、その業務を担う船と人を守ることは重要な責務の1つである。海自艦船を「護衛艦」と呼ぶのは「日本の船を護るためです」と海自関係者は言ってはばからない。戦時中、彼らを守れなかった反省も込められている言葉だという。

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